- お手本をきちんと写せない。(時間かかるのに……。)
- 気づくと間違った漢字を何度も練習している。
- 宿題で出されている漢字練習は毎回ちゃんとこなしているのに、ぜんぜん覚えられない。
- 漢字テスト前にせっかく覚えた漢字が、数日後には忘却の彼方へ……。
「漢字は、書いて覚えるもの」
よく聞く言葉ですよね。
それもそのはず。
事実、漢字を覚える上で「書く」というプロセスが重要だからです。
だたし、「書くこと」は確かに重要ではあるものの、漢字は「書けば覚えられるもの」ではありません。
書いても書いても覚えられない理由は、そこにあるのです。
つまり……
「書いて覚える」ができる子は、このコツをつかんで「書いて」いる子ということですね。
安心してください。
どんなに漢字に苦手意識があっても大丈夫!
漢字を覚えられる「書き方のコツ」について詳しく解説していきます。
現役塾講師の私が、今回は漢字を覚える書き方のコツをご紹介します。
最初にネタばらしをしてしまうと、「書くコツ」と言いつつ書くのは確認程度の数回だけ!
数回しか書かないのに、書くコツ……???と思われるかもしれませんが、本当です。
さて。
漢字練習のお悩みとして、多くの親御さんから「間違った漢字を練習してしまっていると、直さないとならないから大変」という声を聞きます。
あなたのお子さんはどうでしょうか?
宿題の漢字が終わるたびに、間違えて書いていないかのチェックが必要ではありませんか??
チェックは大切です。
でも、間違えた漢字はそもそも書かないに越したことはない。
せっかく10回書いても、間違っていては意味がないどころか損!覚え直しになってしまいますからね。
きちんと準備さえ整えば、数回書くだけでスッと覚えられます。
ぜひ、今回の方法を試してみてくださいね。
※もしも読んでいる最中に「そこまでの苦手意識はないかも?」と思ったら、ぜひこちらをお読みください。
一般的な漢字ドリルを使用した、漢字の練習法を一通りまとめています。
漢字を苦手に感じる理由
一人ひとり理由は様々ですが、大きく分けると「漢字を苦手に感じる理由」は以下の3つのどれかに当てはまります。
①漢字をまとまりとして認識できない
②短期記憶が苦手
③認識は問題ないけど、不器用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①漢字をまとまりとして認識できない
何度か書いているうちに創作漢字になってしまうタイプ。もしくは、1回目から創作漢字タイプ。
それぞれの線がバラバラに見えてしまったり、書き順無視で隠れているカタカナや記号を認識してしまったり。とにかく、漢字を「ひとかたまり」として認識できている人とは、見え方が違います。空間認知や図形の理解を苦手とし、漢字のバランスがうまく捉えられません。バランスがわからないので、ノートのマス内に字を書くのも、ちょっと苦手。
②短期記憶が苦手
お手本を見て、ノートに書き写すまでの短時間で忘れてしまうタイプです。
結果として何度も何度も見直して、一画ずつ確認して書いていきます。「次は横棒」「次は上からまっすぐ」と、一画ずつ。ていねいなことはとても良いことなのですが、結果的には漢字を「ひとかたまり」として捉えられていません。
③認識は問題ないけど、不器用
うまくバランスを取って書くことができません。お子さん本人としても「お手本とちがう」と認識しているので、何度も何度も書き直します。
鉛筆が上手に扱えない。本人は必死で書いているのに、うまくいかない。本人が一番「何でできないんだろう」と悩んでいるかもしれません。
どの理由で苦手意識を持ってしまっていたとしても、共通して言えることは「言われた通りにがんばっているのに報われない」ということです。同じように練習している(ように見える)子たちはどんどん覚えていくのに自分だけ……と不安にもなっていることでしょう。
クラスに絵が上手な子がいれば、足が速い子もいて、計算が得意な子がいれば、漢字が得意な子もいます。それと同じように、絵が苦手な子も、走るのが好きになれない子も、計算に時間がかかる子だっています。大切なのは、その子その子に合った方法で、焦ることなくそれぞれが自分のペースで気持ちよく学ぶことです。
他人と比べる必要はありません。
漢字を正しく書くための練習法
漢字は、最初が肝心です。
一発目に書くときにその漢字を正しく覚えられるかが決まると言っても過言ではないくらい。
注意することは、ただ一つ。
これに尽きます。
「なんだ、そんなこと?」と思うかもしれませんが、騙されたと思って一度本気で試してみてください。
本気で、ですよ。
漢字が得意な人は、大人でも子どもでも「全体のバランス」と「分解した部品」を、パッと見た瞬間に認識することができます。ですが、①漢字をまとまりとして認識できない②短期記憶が苦手というお子さんにとっては、それが難しい。
③認識に問題はないけど不器用というお子さんも、しっかりイメージトレーニングをしてから「書く」というステップに臨みましょう!
というわけで、まずは「正しく認識すること」に時間をかけます。
用意するもの
A4の紙。(もっと大きくても良いです。)
私はよく「本当は習字の準備をして欲しいくらいです!」と冗談ぽく言ったりもするのですが、本心でそれと同じくらいの緊張感は必要だと思っています。
極端なことを言うようですが、その漢字を「覚えよう」と思って見た瞬間から、漢字練習は始まっているのです。
やり方
お子さんが書けない場合は、太いペンで大人が書いてあげてくださいね。
書き順通りに指でなぞりながら、
「ここは、長いんだね」
「ここは、出ないんだね」
「ここは、はねるんだね」
と、できる限り細かく一つずつ確認します。
目標は、口頭で漢字を全て説明できること。
もちろん説明が下手でも、お子さん自身が書ければOKですよ。
何度か指でなぞりながら注意することを口に出して、覚える!
覚えたら、実際にノートに書いてみます。
この際、見本などは全て隠します。
何も見ずに書いてみて、「細部までちゃんと覚えたか?」の確認をします。
お子さんに「書けそう?」と声をかけてから書かせるのも良いですね。
最初のうちは分からなくても「書けそう」「まだ書けなそう」の感覚がだんだんつかめてくるはずです。
この感覚さえつかめてしまえば、一人でも漢字を覚えることができます。
この段階で、書けなかったら一度鉛筆を置いて、「②細部まで確認」に戻ります。
まとめ
漢字は、まず「正しく書ける」ようにすることが大切です。
「正しく書ける」ようになれば、あとは「読んで」「使って」定着させるだけです。
今回紹介した方法であれば、ほとんど書く必要がありません。
ママさん、パパさんの時間がある時に、数日続けてチャレンジしてみてください。
やり方を覚えてコツを掴んでしまえば、何度も書くよりずっと楽なことに気づくはずです。
そうなったら「覚える」が楽しくなるまであと少し。
なぜなら、子どもたちの世界では、難しい漢字が書けるって一種のステータスだったりもするから。
何よりも、「苦手だと思っていたことができるようになった!」という感動は『やる気』につながります。
そして、やる気を出したお子さんのパワーは、私なんかよりずっとずっとパパさん・ママさんのが知っているはずです。
そうなってしまえば、一人で漢字をどんどん先取り学習することも可能です。漢検だってどんどん目指せるかも。
今回は、漢字が苦手なお子さん向けに、「一回目から正しく書く」にこだわった練習法をご紹介しました。
「そこまで苦手じゃないかも」という方はこちらの『最強の漢字練習法』をご活用くださいね!